2012年1月21日土曜日

アゴラ読書塾 第3回「中国化する日本」與那覇潤著

サイン頂きました!(可愛いです)
「中国化する日本」は去年新刊と同時に購入してこのブログでも既に感想文を書いた事がある。今回の「アゴラ読書塾」に思い切って行こうと思った動機の一つが、この著者である與那覇先生(@jyonaha)と直接対話が出来るチャンスに惹かれたからである。(もちろん、池田先生も魅力だけど)

読書感想は先のエントリーに書いたので、重複する部分は省略するけど、再読に当たって、最初に読んだ時には深く考えなかった事が、頭から離れないので、今日はその事をまとまらないまま、メモ書きしてみようと思う。

日本と中国双方で進行している「少子化」
前のエントリーでも書いたが、與那覇先生の視点はとても新鮮で
「ああ、32歳世代だ。」
と感じる。それは池田さんと対談する事で、より際立ったと思う。
これは、私の実感でしか無いが、会社でもこの世代は
  • 並外れた才能を持っている。(鍛錬を怠らず競争に勝ち抜いた。)
  • 薄っぺらい考えには簡単に騙されない。
  • であるにも関らず「(おめでたい)上司に上手に合わせてくれる。」
だなぁと感じている。
(↑数字は厳密ではありません。でも知ってる人はこの歳ばかり。。。)
私の同世代(バブル組)にも聞いてみたら、同意してくれた。
(池田先生が「おめでたい上司世代」と言っているのではありませんので、念のため。)

残念ながら、時間切れで質問出来なかったのだが、翌日Twitterで
少子化(労働人口減少)は日本だけではなく中国でも深刻に進んでいる問題ですが、歴史上「巨大な数の非生産人口を掲げた国が辿った顛末の事例はあるのでしょうか?」
と質問したら。A・チェア「最強国の条件」という著作を紹介して下さった。
早速、読んでみたいと思う。

この「中国化する日本」を読むと、日本は、何度も何度も「中国化(OPEN化)」しようと少し取りかかっては、形状記憶合金が戻るように「江戸化(封建的システム)が懐かしい」と戻ってしまう。
でも「同じ状態」に戻るのでは無く、下記に書くように何処かに「割を食っている」集団を作りながら変遷している。
  1. 開墾農場主(武士)が貴族を排除して利権獲得
  2. 新田開発によるイネの普及で百姓のうち長男のみが利権獲得
  3. 明治維新の原動力になった次男/三男も重化学工業のお陰で利権獲得
  4. 最後まで割を食っていた女性もいよいよ→→→少子化
、、子どもの数が少なくなるという事は、たぶん「先進国(文明国?)」としてありうべき姿なのだろう。問題はこの変遷の実情をしっかり把握していない事にある!!と與那覇先生は警鐘を鳴らしておられる。では、具体的にどうしたら良いのか
もはや、日本人だけのメンバーでは限界が来ている。優秀な移民の獲得競争が起きる。(、、と人口学の見解を引用)
という予測は、ホリエモンも同じ事を言っていて、私もたぶんそうなると認識している。

願わくば、日本に来てくれる他国の人達にも、日本を好きになって一緒に「いい感じ」で暮らしたいと思う。この「いい感じ」とは司馬遼太郎さんが誰かと対談した時に使っていた言葉だ。

イノセントな日本人の顔
今回の読書会で一番の収穫は、與那覇先生が挿話として紹介した話である。幕末期に日本を訪れた外国人の記述を紹介して下さったが、意訳すると
イノセント(無邪気)で警戒心の無い「バカ面(意訳)」を丸出しにした人々が、わらわらと外国人である自分に近寄り、話しかける。そしてその感じが凄く幸せそうだ。
 この事を聞いた瞬間に
「あ、それは『こども』だ!」
と目の前に映像が浮かんだ。

我が家にも居るが、10歳くらいの子どもの集団は丁度こんな感じ。。もちろん、幕末のその集団は姿は一応「大人」になっているが中身がまるで「子ども」だったのだろう。(平均身長は異様に低いけど)
「だからか、、。」
とそれまでの疑問が氷解した。昨日の対談では
  • (日本人は)お上を信じ過ぎる。だから裏切られた!と遮二無二なって怒り出す。
  • (日本人は)純粋な事を尊び過ぎる。
  • (日本人は)他者と自分が同化してしまう。
  • (日本人は)「法治国家」って言われてもピンと来なくて、自分らで作るという意識が乏しい。
と指摘されたが「それはなぜだろう?」という疑問がなかなか解けなかった。

沢山の「理不尽な試練」に否応無しにさらされて、人は「大人」になっていく訳だが、グループぐるみ「何かに守られ」続けていると、雰囲気がどうしても内向きで内輪だけの感覚(空気)に支配されてしまう。

 昔、「大人の国イギリスと子どもの国日本」という本があったけれど、今この本のレビューをチラチラ読むと、そのこき下ろしぶりに改めて
「日本人がこどもって言われてもしょうがないかも。」
と、かえって日本らしさを感じる。未だにそうなのだろうか。
(私もこの本のタイトルを見た当時は、ややカチンと来たが、、)




もの凄く楽しい会だったが、このエントリーを書くのは正直、四苦八苦だった。なぜなら「ああそうか、最後の『割食い集団』は人口の半分の女性か。」と気付いてしまうと、普段心して封印している、ルサンチマンが思わず顔を覗かせてしまうからだ。
WorkingMatherの苦悩は深い。

「お上をどこかで信じてる?はぁ?!最初っからアテになんかしてないわよ。」

という本音は、もう10年以上前から持っている。自分の無知さ加減を呪う所から、WorkingMatherの生活は始まるのだから。

、、、 止めよう、止めよう。恨みつらみを書き綴った所で、何も生まれはしない。ただ、それだけ與那覇先生の視点は、あらゆる方向から眺めていて、死角が無いという事なのだ。(恐るべし!)


因に、池田先生、與那覇先生で語られた「橋下大阪市長はどんな人なのか。」の件。
私は橋下さんが、どこかの知事か市長が育休を取った事を批判した発言を目にしてからは「信用しない人物」に仕分け済みです。楽チンな考え方をしようとする人か否かを見分けるには、絶好のリトマス試験紙だと思っています。


さて、来週は気の重い、丸山真男「日本の思想」。。どうやりますやら。

0 コメント:

コメントを投稿