田原総一郎責任編集の「ホリエモンの最後の言葉」を読む。(死んじゃった訳じゃ無いのに、最後の言葉って、、)堀江氏の対談本、著作はここ数ヶ月良く読んだけど、田原さんってやっぱり凄いジャーナリストだとつくづく思う。
話しの核心を突くとはこの事だ。スパッスパッと切れ味鋭い刃物の如き短い言葉で話しを切り分けて行く様は、剣豪の試合を見ているようだ。
朝生を見てた頃は、何でこんなに人の話しを遮るのかと思ったけど、あの遮りは名人芸だそうで、あれが無いと議論がグダグダになってしまう。同じ話しをダラダラと話し出したら止まらない人を、さっとばかりに止める才能は、議事進行に欠かせない。
でも、田原氏の真の才能は、人の本音を引き出す為に、「己を抑える」上手さだ。自分語りが過ぎてはインタビュアーとして本末転倒、さりとて、無色透明にただ相手の話しを聴いているだけでは良い話しは引き出せない。
本当はすごく深く考え、洞察力も鋭いのに、対面した相手には時に知らないふりをして、対話を進める。
本書は、堀江氏の対談本の中でも、一番ではないか。興味深い内容に出くわすと、私は何度か文章を反芻して読み返す癖があるのだか、いつも、半日で読んでしまう堀江本の中で、今回は二日かかった。それだけ丁寧に読み進めた結果である。
インタビューは縦横無尽に展開されるが、唯一、二人の考えが違った箇所が、人と人とのコミュニケーションのこれからにらついて。
堀江氏は、次には脳内チップで頭の中から直接情報をやり取りするテレパシーの時代が来ると予言し、田原氏は「やっぱり、直接会って得られる情報は、何事か違う感じがする」と言う。永年のジャーナリストとしての経験なのだろう。
私は、どちらも有るだろうなと思う。スマフォの登場で音楽を聴いている最中に電話が取れる様になった、会議中でも家族からの緊急連絡を直メールで受けれるようになった。もし、この様を、100年前の人が見たら、魔法かテレパシーかと思うだろう。電車内でイヤフォンしている人に向って直接車内放送を割り込みで聞かせる事だってそのうち出来るようになると思う。一方、相変わらず、人はお腹が空せば食事をするし、自分の足で移動出来る距離はたかがしれている。相変わらず、、の部分を抱えて限られた時間をジタバタと生きて行く、そこを捉えてるのが田原氏なんだと思う。
田原氏は、堀江氏の事を「日本の宝だ」と絶賛する。
「彼はとてもおおらかだ。」
と評したのがとても印象的で、ホリエモンをこんな風に言う人ってこれまで居なかったんじゃないかと思う。そんな田原氏もとても優しいと私は思う。
ズバズバ歯に衣着せぬ鋭い指摘で、ご本人は満身創痍だろうが、その根底にある真実を追求する勇気は、人に対して諦めの無い優しさがあるからだと思う。
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